妊娠中に使ってはいけない精油はある?
香りを嗅ぐ程度なら心配する必要はありません
妊娠中のアロマテラピーについては、心配される方も多いと思います。
特に「妊娠中に使ってはいけない精油がある」というような話を聞くと、必要以上に身構えてしまうものです。また、書籍によって、その使えない精油というのが異なっているところも、しばしば混乱の元となります。はたして、妊娠中はアロマテラピーとどのように付き合ったらいいのでしょうか?
結論から申し上げれば、芳香浴で香りを楽しむ程度であれば、どんな精油であっても特に問題はありません。この精油はダメというのも、特に気にしなくても大丈夫です。
香りというのは鼻の奥の粘膜にある毛(嗅毛)でキャッチされた芳香成分が電気信号に変換され、脳に伝えられます。つまり、香りによって体内に取り込まれる精油の成分というのはごくごく微量なのです。
もちろん、妊娠中はごはんの香りで吐き気をもよおすなど、香りに敏感になることがよくあります。今まで好きだった香りを受け付けないこともあるかもしれません。したがって、香りの強さは控えめを基本にし、からだが欲する香り(例えば、サッパリした香りを欲するときはレモンやユーカリなど)を使うようにしましょう。
ティッシュやハンカチに含ませて香りを嗅いだり、アロマライトなどでお部屋に香らせるのもいいでしょう。妊娠中は精神的にも不安定になりやすいですので、積極的にアロマを活用して頂けたらと思います。
妊娠中のアロママッサージは控えましょう
一方、マッサージ(トリートメント)に関しては、注意が必要です。香りを嗅ぐときと異なり、マッサージというのは皮膚から精油の成分がダイレクトに体内に取り込まれます。特にボティマッサージは範囲も広く、体に取り込まれる精油の量も多くなります。
マッサージは精油を1%程度の濃度に希釈しますので、通常はこの程度の量でからだに影響が出ることはまずありません。ただ、万一のことも考え、妊娠中のアロママッサージは、精油の種類にかかわらず控えて下さい。精油の原液がお肌につく可能性があるアロマバスも、念のため控えたほうがよろしいでしょう。

妊娠期のアロママッサージは避けたほうが無難
精油の通経作用について
一部の精油には通経作用(つうけいさよう)があると考えられています。通経作用とは月経を促進する作用のことで、これが原因で出産に影響を及ぼす可能性があるとしばしば言われます。
念のため以下に掲載しますが、臨床データがあるわけでもありませんので、あくまでも目安です。香りを嗅ぐ程度であれば、それほど心配する必要はありません。念のためアロママッサージでの使用は控えたほうが良いでしょう。
注意が必要
ラベンダー、カモミール、クラリセージ、サイプレス、シダーウッド、シナモン、ジャスミン、ジュニパー、ゼラニウム、フェンネル、ペパーミント、ベルガモット、マージョラム、 メリッサ、ローズ、ローズマリー、レモングラス
精油の通経作用といっても、悪いことばかりではありません。
産婦人科や助産院などでは、これらの精油の力を上手に使って妊婦にマッサージを施し、分娩の促進やリラックスに役立てているところもあります。
ちなみに、公益社団法人日本アロマ環境協会によれば、一般的なアロマの使用法によって妊婦が重大な事故を招いたことは、現在まで報告されていないとのことです。お部屋で好きな香りをちょっと楽しむなど、香りの力をうまく活用して妊娠期の情緒不安定を乗り切りましょう。