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裸足の1500マイル



タイトル: 裸足の1500マイル
原題: RABBIT PROOF FENCE
(2002年、豪)

監督: フィリップ・ノイス
出演: エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン、ティアナ・サンズベリー、ケネス・ブラナー 他




レビュー&コメント

 母に会いたいと願う、切なる気持ち。
 「裸足の1500マイル」は、そんな少女の心の叫びが生んだ感動の物語。
実話をもとにしたこの映画、母国オーストラリアを感動の涙で包み、オースト
ラリア・アカデミー賞の最優秀作品賞にも輝いています。

 この映画の主人公は、オーストラリアの先住民アボリジニ。
 褐色の肌をもち、数万年前からオーストラリア大陸で狩猟生活を営んでいた
彼らは、イギリスがオーストラリアに入植して以来、常に差別と迫害の対象と
なってきました。この映画は、国の政策として差別を行なってきたオーストラ
リアの、いわば歴史の暗部に光をあてています。

 舞台は1931年のオーストラリア。
 当時、オーストラリアでは、アボリジニの混血児を家族から無理やり引き離
し、西洋的な教育をほどこして白人社会に適応させようとする、隔離・同化政
策がとられていた。
 強制的に収容所に入れられ、刑務所さながらの生活を強いられる子供たち。
そんな中、モリー、グレイシー、デイジーの混血アボリジニの少女3人は、母
親の待つ故郷に帰るために収容所を脱走。オーストラリアを縦断するウサギよ
けフェンスをたよりに、1500マイル(2400キロ)もの道のりを歩き始
める――。

 この映画は、差別する側であるオーストラリア人を完全な悪人としては描い
ていません。彼らは彼らで、石器時代のような生活をしているアボリジニに救
いの手を差し延べたいと考えている。
 もちろん、だからといって、子供をさらって収容所暮らしをさせてもいいと
いう理由にはならないのですが、相手に対する無知や思いやりの欠如からくる
「差別」というものの根の深さを、あらためて思い知らされます。

 追跡者たちの執拗な追跡、そして過酷な大自然の脅威。逃げ出した彼女たち
に望みはなさそう。しかし、持ち前の勇気と知恵、そして何よりも母親の待つ
故郷に帰りたいという一心で、彼女たちは前へ前へと進んでいきます。

 ハリウッド映画にありがちな、お涙頂戴的な演出はありません。むしろ淡々
とした調子で、彼女たちの頑張りを見守っていく。力強いまなざしで前をしっ
かと見つめ、荒涼とした大地を黙々と歩いていく少女たちの一途な姿に、自然
と涙が溢れてくるのです。

 1500マイル(2400キロ)がどれくらいの距離かと言いますと、実に
東京−サイパン間の距離に相当します。生死をさまよい、90日間をかけて歩
ききった彼女たちの勇気と根性に、心から拍手を贈りたい。愛は偉大なのです!



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  Text by じょん 2003/2/8  メールマガジン掲載
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