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| タイトル: |
阿弥陀堂だより |
| 原題: |
阿弥陀堂だより |
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(2002年、日) |
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| 監督: |
小泉堯史 |
| 出演: |
寺尾聰、樋口可南子、北林谷栄、小西真奈美、田村高廣、香川京子、吉岡秀隆 他 |
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久々にいい映画に出会いました。「これを『癒される映画』で紹介せずに、
何を紹介する!」というくらいの、あたたかくて、心癒される映画です。
東京で暮らす熟年夫婦、孝夫と美智子。夫の孝夫は、新人賞を受賞しながら
も、もう10年も鳴かず飛ばずの売れない作家。妻の美智子は、大学病院で働
く優秀な医師。
ある日、美智子は仕事上のストレスからか、パニック障害という心の病にか
かってしまう。療養のため、孝夫の生まれ育った長野県の山奥に移り住むこと
を決意する二人。無医村で医師として働きはじめる美智子と、それを優しく見
守る孝夫。奥信州の豊かな自然と、そこに暮らす人々とのふれあいの中で、美
智子は徐々に自分自身を、そして生きる喜びを取り戻していく。
人工的で、灰色にまみれた東京とは対照的な、緑豊かな大自然。車の騒音で
はなく、川のせせらぎを聞きながら、眠りにつく幸せ。・・・最高ですよね。
青青とした木々や稲穂は、季節の移ろいとともにやがて色づいていく。田畑
を耕し、自然とともに生きる生活。ここには自然と人の営みとの境界など、あ
りません。
また、そんな場所で暮らす人々の純粋さとおおらかさ。マンション暮らしで
隣の人の顔すらロクに見たことのない私には、おうめ婆さんをはじめとする、
この田舎の人々の優しさと温かさが、ストレートに胸に迫ってきました。
私が東京で暮らし始めて、もう、かれこれ7、8年。ここでは欲しいものは
何でも手に入ります。でも、金銭的な豊かさは、物欲を満たし、生活を豊かに
してくれる反面、人のこころを貧しくしていくんでしょうね。
「遠くをみることなんて忘れてた・・・」
「質素なものばかり食べていたのが長寿につながったのだとしたら、それはお
金がなかったから出来たのです。貧乏はありがたいです。」
そんな言葉のひとつひとつが、乾いた心に沁みていく。
さらには、映画の中にも登場した、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節。謙
虚でひたむきな日本人の心を忘れたのは、いつの頃だったろうか?
映画を観ているうちに、忘れかけていた何かをひとつひとつ思い出してくる
ような気がして、自然と涙があふれてきました。
本当の心の豊かさってなんだろう。そんなことを、しみじみと考えさせてく
れる映画です。
ちなみに、私はいつもエンドロールの途中で退席してしまうタチなんですが、
この映画だけは、久々に最後の最後まで観てしまいました。少しでも長く、余
韻に浸っていたかったんですね。
頑張っている人、疲れている人、そして思いやりのある人に観てほしい。乾
いた心に沁みわたる、さらさらとした水のような映画でした。
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| Text by じょん |
2002/10/24 メールマガジン掲載 |
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