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愛と優しさに溢れた青春物語 
「あの頃ペニー・レインと」



タイトル: あの頃ペニー・レインと
原題: Almost Famous
(2000年、米)

監督: キャメロン・クロウ
出演: ビリー・クラダップ、ケイト・ハドソン、パトリック・フュジット、フランシス・マクドーマンド、フィリップ・シーモア・ホフマン他





 「ザ・エージェント」(96年)でおなじみのキャメロン・クロウ監督が、
自身の青春時代を描いた自伝的作品。愛と優しさに溢れた、とってもキュート
なロードムービーです。

 1973年。サンディエゴ。15歳の少年ウィリアムは、厳格な母親に育て
られた優等生。地元誌に寄稿したロック評がローリング・ストーン誌の目にと
まり、彼はブレイク寸前のロックグループに同行取材することになる。そこで
出会ったグルーピー(追っかけ)のリーダー的存在、ペニー・レインに、彼は
ほのかな恋心を抱いていく。

 普通の少年が、ドラッグとセックスにまみれたロックの世界へ身を投げ出し、
そして恋に落ちる――。たとえシチュエーションは違っても、純粋で不器用な
ウィリアムの姿は、誰もが経験したせつない青春時代を彷彿とさせます。ささ
いな出来事に喜んだり悲しんだり・・・。ウブだった昔の自分を思い出して、
なんだか微笑ましくなってしまうのです。

 この映画で面白いのは、脇を固める人物たちのさまざまな人間模様。
 心からバンドを愛し、そしてボロボロに傷つくペニー・レイン。仲間割れを
繰り返し、ドラッグやセックスに溺れながらも、ひたすら有名になるために奮
闘するバンドのメンバー。「ドラッグはダメ!」とホテルマンからバンドのリ
ーダーまでドヤしつけ、息子を正しい方向に導こうとする母親。ロックの商業
主義をこきおろし、ウィリアムの良き師となるカリスマロック評論家、レスタ
ー・バンクス。

 みんながみんなクセのあるキャラクターではありません。しかし、それぞれ
が自分なりの考えを持ち、悩み、ぶつかりながらも必死で生きている。この人
間臭さがたまらない。
 中でも、奔放さの中に繊細さを備えるペニー・レインを演じたケイト・ハド
ソンは最高。吸い込まれそうな瞳で、名優揃いのこの映画の中でも一段と光輝
いています。

 ユーモアのセンスもバツグン! 墜落寸前の飛行機の中で、どうせ死ぬんだ
とばかりに、バンドのメンバーたちが大暴露合戦。「お前の女と寝た」「オレ
もだ」「テメエと死ぬのはご免だ!」などなど、もうメチャクチャ。最後に一
人が「オレはゲイだ!」と叫んだ瞬間、ブーンと飛行機が体勢を立て直す。大
笑い。

 監督の、音楽やジャーナリズムに対する想いがたっぷり詰まったこの映画、
70年代のロックが分かるとさらに楽しめるのですが、ロック音楽にまったく
興味のない人でも大丈夫。
 いつまでも心の中に大切にしまっておきたい、そんな素敵な映画です。



  Text by じょん 2002/8/9  メールマガジン掲載




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