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 時代を超えて輝く名作 
「蒲田行進曲」



タイトル: 蒲田行進曲
原題: 蒲田行進曲
(1982年、日)

監督: 深作欣二
出演: 松坂慶子、平田満、風間杜夫、蟹江敬三、原田大二郎、萩原流行 他





 ♪にぃじのみやこ、ひぃかりのみやこ、キネマのてんちぃ〜

 今回は「蒲田行進曲」です。「なんで、今頃『蒲田行進曲』なの?」と言い
ますと、それは窪塚洋介主演の映画「GO」に平田満が登場していたから。
 焼肉屋に客として平田満(本人)が入ってくると、そこで働く大竹しのぶが
目を輝かせて彼にちょっかいを出す。
「ちょっと、ヤス! ヤス! あンた、階段落ちるんだから」
 思わず吹き出すシーンですが、映画の本編とは全く関係ありません。この笑
いはズルイ(笑)

 そのヤスが登場するのが、名作「蒲田行進曲」です。この映画を私に教えて
くれたのは、小学校時代のK先生。当時20代の若い先生で、ちょっと女好き。
私に「くびれる」という単語の意味を教えてくれたのもこの先生です。いつも
生徒の輪の中心にいて冗談を言い放ち、生徒のギャグには上を向いて「ツマン
ネェ〜」というのが口癖。そんな彼が「オモシレェ〜」を連発したのが、この
「蒲田行進曲」だったのです。
 結局、私が観たのはその何年も後だったわけですが、観てみるとこれが文句
なく面白い!! だから、この映画を観るたびに、私はそのK先生を思い出し
てしまうのです。顔が萩原流行に似ているので、なおさらだったりします。

 物語の舞台は、映画制作に沸く東映の京都撮影所。ヤス(平田満)は「大部
屋俳優」、いわゆる端役で、毎日毎日、斬られたり、死んだりの日々。そんな
ヤスのあこがれが、スター俳優の銀ちゃん(風間杜夫)。彼は銀ちゃんの子分
として、殴られても蹴られても銀ちゃんのために尽くす。
 ある日、銀ちゃんは身辺整理のため、妊娠してしまった恋人、小夏(松坂慶
子)をヤスに押し付ける。ヤスは、小夏を幸せにしようと、いつにもまして危
険な役に挑戦する。

 「銀ちゃんのキャラクターっていいよね」という意見も多いのですが、私が
感情移入してしまうのはなんといってもヤスの方。彼の優しさと男気には心底
ホレます。
 嫌われても嫌われても、身重の小夏に健気に尽くし、彼女を振り向かせよう
とするヤスのいじらしさ。そして、大部屋俳優である彼の、悲しさ、切なさ。
いつもヘラヘラしているヤスが感情を爆発させるシーンは、涙なしには観られ
ません。

 また、そんなヤスを徐々に好きになっていく小夏のかわいいこと。冷たい印
象の「女優」の彼女と、お弁当を持ってヤスに会いに行く「普通の奥さん」の
彼女は、まるで別人のよう。この変わりぶりを観ているだけでも心があたたか
くなってきます。

 一方、ヤスの幸せと反比例するかのように元気がなくなっていくのが銀ちゃ
ん。予定していた映画はおろか、撮影中の映画の主役の座すら危うくなってし
まう。プライドが高くて、人一倍寂しがり。そんな銀ちゃんの最大の理解者で
あるヤスは、銀ちゃんの最大の見せ場である、「新撰組 池田屋階段落ち」の
シーンに名乗りをあげる。
 39段。高さ10メートル。スタントマンも逃げ出したこの階段落ち。打ち
所が悪ければ間違いなく死ぬ。
 彼は落ちた。臨月の小夏を残して――。

 笑って、笑って、そして泣いて・・・。セリフまわしは古くても、いい映画
は時代を超えて輝きます。私の中では五指に入る邦画の傑作。観ていない人は、
ぜひ!



  Text by じょん 2002/4/26  メールマガジン掲載




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