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ブラッド・ワーク



タイトル: ブラッド・ワーク
原題: Blood Work
(2002年、米)

監督: クリント・イーストウッド
出演: クリント・イーストウッド、ジェフ・ダニエルズ、アンジェリカ・ヒューストン、ワンダ・デ・ジーザス、ティナ・リフォード 他




レビュー&コメント

 足掛け21年に及ぶ大河テレビドラマ『北の国から』が昨年9月に完結した。
2夜連続で放送された最終作『2002 遺言』の視聴率は、前編が38.4
%、後編が33.6%。――私もその日はテレビの前にいた。
 五郎役の田中邦衛はすいぶんと老けた。孫をベタベタにかわいがる邦衛、病
に倒れ遺言状を作る邦衛・・・すっかり"いいおじいちゃん"である。

 この田中邦衛が1932年生まれの70歳。――そして、クリント・イース
トウッドは1930年生まれの72歳。つまり、イーストウッドは邦衛より年
長なのだ。
 イーストウッドも見かけは歳相応である。前以上にシワシワになり白髪もす
っかり薄くなった。しかし、映画の中での暴れん坊ぷりは若い頃とほとんど変
わっていない。

 『ブラッド・ワーク』でも、サイコ・キラーをどこまでも走って追跡し、ド
でかいショットガンをドガンドガンとぶっ放し、娘どころか孫みたいな年ごろ
の女とベッド・インしちゃう。永遠に「現役」でいたい、という老人の夢を体
現した男、イーストウッド。これはもう、ほとんどファンタジーの世界だ。

 しかし、老人の老人による老人のためのこの作品、まだ若い私が観ても十分
すぎるほどにエキサイティングだ。この手の娯楽アクションを演出するときの
イーストウッドは熟達した職人芸を見せつけてさすがの貫禄である。

 イーストウッドの役どころはFBIのスゴ腕捜査官。犯人を追跡中に心臓発
作で倒れ、引退する。
 2年後、心臓移植の手術を受けてとりあえず健康を取り戻したイーストウッ
ドの前に1人の若い女が現れる。

 その女、グラシエラが言うには、イーストウッドに移植された心臓は彼女の
亡くなった姉のものなのだそうだ。グラシエラの姉は行きずりの強盗に撃ち殺
されたという。
 これも何かの縁、姉殺しの犯人を見つけ出してほしいと頼むグラシエラ。む
げに断わるのもしのびない。イーストウッドは体に染み付いた捜査のノウハウ
とかつての人脈を使い、事件を調べ始める。

 一見、ケチな強盗殺人に見えたこの事件――しかし、調べれば調べるほど何
かがひっかかる。そして、ほんのわずかなヒントから意外な真相が明らかに・
・・。
 ネタばらしになってしまうので詳しく説明できないのがもどかしいが、この
へんの緩急自在なストーリーさばきは絶妙。細心さとほどよいいいかげんさを
兼ね備えた演出によって、安心して「物語」の面白さにどっぷりとつかること
ができる。

 そして、ラスト。1対1の対決で犯人を倒した後、夕焼けで黄金色に染まる
海をクルーザーで疾駆するイーストウッド。グラシエラとその甥にあたる少年
がそばによりそう。信頼感のこもった2人の熱いまなざしに応え、ニッと微笑
むイーストウッド――。
 仕事でもセックスでも人間の器のデカさでも、若いヤツらにゃまだまだ負け
ないぜ!とでも言いたげなその表情、色も欲も枯れ果ててしまった老人のもの
ではない。まるで、草野球の試合で満塁ホームランを打ったやんちゃ坊主みた
いだ。鼻高々なシワクチャ顔がなんだかちょっとかわいらしい。

 昨年12月にわずか2週間の期間限定で公開され、まだビデオ・DVDも日
本では発売されていないのですが・・・いずれ機会があったらゼヒ。



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  Text by 輝 2003/3/7  メールマガジン掲載
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