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スコルピオンの恋まじない



タイトル: スコルピオンの恋まじない
原題: The Curse of the Jade Scorpion
(2001年、米)

監督: ウディ・アレン
出演: ウディ・アレン、ヘレン・ハント、シャーリズ・セロン、ダン・エイクロイド 他




レビュー&コメント

 みなさん、初夢は見ましたか?
 私の初夢の舞台は病院の手術室。薄いブルーの手術着を着せられ、手術台に
仰向けに横たわっている。ライトがまぶしい。足元のほうに目をそらすと、手
術着にあいた穴から腹のあたりが丸くむきだしになっているのが見える。

 やがてメスを持ったドクターの手が近づいてきて、ヘソの下あたりをツーッ
と横一文字に20センチほど切り裂く。ちょっと血が出たが、痛みはまったく
ない。「最近の麻酔技術の進歩はめざましいなあ」なんてのんきなことを考え
ながら、自分の内臓をボンヤリながめていると――ふいに目が覚めた。

 なんともパッとしない初夢である。こんな夢を見てしまったのは、たぶん数
日前からひどい便秘に悩まされていたせいだ。「腹を切って”ブツ”をパッと
取り出せたらさぞかし楽だろうなあ」なんて考えなければよかった・・・。

 ――話は変わるが、映画と夢はどこか似ていると思う。
 映画館の暗闇は明かりを消した寝室を思わせるし、映画の持つ荒唐無稽さや
ご都合主義は夢の世界のそれに近い気がする。映画館から出てくると明るい外
の世界がなんだか現実じゃないみたいに思えてちょっとクラクラすることがあ
るけれど、これも夢から覚めたときの気分に似ている。

 そう考えると、年の初めに観る映画は初夢みたいなもんだ。今後1年間の運
勢を占う大事な1本である。今年の私の「初夢」が今回紹介する『スコルピオ
ンの恋まじない』であった。

 主人公のブリッグス(ウディ・アレン)は保険会社のベテラン調査員。外見
は貧相だが仕事の腕はバツグン。同じ会社のキャリアウーマン、ベティ・アン
(ヘレン・ハント)とは、ことあるごとに対立する犬猿の仲だ。
 ある晩、2人はディナーショーのステージに上げられ、催眠術をかけられる。
ついさっきまでギャンギャン口ゲンカをしていた2人が急にアツアツの恋人同
士になり、術を解かれるとまた元通り。見ていたみんなは大爆笑。

 しかし、これには裏があった。2人にかけられた催眠術は完全に解かれては
いなかったのだ。催眠術師はブリッグスを自由に操り、金持ちの邸宅から宝石
を盗み出させる。ブリッグスは目を覚ますと何ひとつ覚えていない。完全犯罪
である。

 催眠状態のブリッグスは、最初にかけられた暗示のせいで相変わらずベティ
・アンを「運命の恋人」だと思い込んでいる。ところがこれも目を覚ますとき
れいさっぱり忘れてしまう。
 次々に起こる宝石盗難事件の犯人捜しに奔走するブリッグスだが、出てくる
のは自分に不利な証拠ばかり。その一方で、ベティ・アンとの関係は次第に変
化していく――。

 ちょっと込み入ったシチュエーションなのだが、ストーリーさばきの手際が
いいせいで何のひっかかりもなく楽しむことができる。明るい1年の幕開けに
ふさわしいウェルメイドなコメディだ。
 夜に見るほうの初夢はさっぱりダメだったが、映画の「初夢」は当たりだっ
たのでちょっとホッとした。
 ――今年1年もなんとかやっていけそうです。



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  Text by 輝 2003/1/10  メールマガジン掲載
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