映画 ブラス!

タイトル: ブラス!

原題: Brassed Off

製作: 1996年、英

監督: マーク・ハーマン

出演: ピート・ポスルスウェイト、ユアン・マクレガー、タラ・フィッツジェラルド 他

映画 ブラス! レビューと感想

 数年前、釧路の太平洋炭鉱を見学させてもらったことがある。

 ここは海底炭鉱である。海岸部から地下へ坑道を掘り進めていき、海の底まで行って石炭を採掘している。海底に縦横に張り巡らされた坑道は、なんと!山手線くらいの面積に広がっているんだそうだ。
 あんまり広いので、主要な坑道には「高速人車」という小型の地下鉄みたいなのが走っていて、作業員はそれに乗って移動する。

 できるだけたくさんの人をいっぺんに運べるように、ということなんだろうが、高速人車の座席はとにかく狭い。天井は低いし、シートも金属製でカタい。そいつが、ガガーッ!とワイルドな走りで暗いトンネルを下っていく。
 「停留所」で降りてしばらく歩くと、石炭を掘っている現場にたどりついた。

 先っぽに巨大ドリルがついたブルドーザー、といった外見の掘削機が、ダガ!ダガ!ダガ!ダガ!と岩盤を砕いている。
 初めて見る光景なので、最初のうちは興味津々であたりを見回していたが、とにかくうるさくて話もできないし、粉塵がすごい。早々に引き上げた。われながら軟弱・・・。
 ここでの仕事はとてもじゃないが、私には務まらなそう。たんちゃん、ペロくん、炭鉱で働いてる人たちって本当にエラいんだね。

 しかし、この太平洋炭鉱も今年1月に閉山になってしまった。
 炭鉱の閉鎖を背景にした人間ドラマといえば、最近のイギリス映画のお家芸だ。『フル・モンティ』(97年)、『リトル・ダンサー』(00年)・・・ いろいろあるが、今回紹介する『ブラス!』もその1本。

 スコットランドの炭鉱で働くムサい男たちがクラブ活動みたいな感じでやっているブラスバンドの物語である。
 炭鉱の閉鎖が決まり、メンバーのほとんどは音楽どころじゃなくなってしまうのだが、ただ一人、ブラバン一筋ウン十年のリーダー、ダニー(ピート・ポスルスウェイト)だけは別。バラバラになりそうなメンバーをなんとかまとめ、コンテスト出場を目指す。

 バンドのメンバーたちは、いかにも炭鉱で働いてそうな無骨なルックスが勢ぞろい。厳しい仕事に鍛え上げられ、いい感じにくたびれた味のある顔立ちばかりである。
 『スター・ウォーズ』シリーズではオビ・ワンとして宇宙空間を飛び回っていたユアン・マクレガーも、この作品では、いかにもヘルメットかぶって高速人車に乗り組んでそうなフツーの兄ちゃん。

 こういうリアル感ってのは「マイン(=炭鉱)ムービー」(そんなくくりがあるのかどうか知らないが・・・)にとってはけっこう重要なポイント。いかにも「俳優で~す」って感じのこぎれいな顔したヤツばっかりじゃ、作品の魅力も半減しちゃう気がする。

 クライマックスはロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの一世一代の名演奏。まさに王道の展開だ。素直に感動した私は、バンドの演奏を収録したサントラCDまで買ってしまった。
 私と同じく「王道」大好きな人にはオススメの映画であります。

Text by 輝
2002/11/1

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