映画 ダーク・ブルー

タイトル: ダーク・ブルー

原題: Dark Blue World

製作: 2001年、チェコ・英

監督: ヤン・スヴィエラーク

出演: オンドジェイ・ヴェトヒー、クリシュトフ・ハーディック、タラ・フィッツジェラルド 他

映画 ダーク・ブルー レビューと感想

 私には高所恐怖症の気がある。
 少し前に「まあ、このくらいなら大丈夫だろう」と、よみうりランドの大観覧車に乗ってみたが、やっぱりダメだった。顔面蒼白。手のひらには汗がねっとり。平気なふうを装ってはいたものの、しっかりと手すりをつかみ、一瞬たりとも手を離せずじまいであった。

 でも、グアム旅行でパラセイリングにチャレンジしたときはぜんぜん平気だった。落ちても、下は海だしな――そう思うと不思議と恐くないのである。
 私の高所恐怖症は、落っこちたときのことをあれこれ考えて恐くなる、そういう性質のものらしい。

 だから、飛行機も大丈夫。
 あれだけでっかい機体が宙に浮かぶ――そもそも、その仕組みからしてまるっきりピンときてないんだから、落っこちたときのことなんてなおさら想像できるわけがない(妙な理屈だけど)。
 それに、完全に密閉された空間になってるせいで、猛スピードで空を飛んでるって実感も全然わかないしね。う~ん、これはこれで何だか味気ない気もするな。

 『ダーク・ブルー』は、第二次世界大戦当時のチェコスロバキアの空軍パイロットを主人公にした物語だ。

 冒頭、主人公のフランタ(オンドジェイ・ヴェトヒー)が、恋人に飛行機の操縦を教えながらイチャイチャするシーンがある。地上で飛行機の補助翼や方向舵をキコキコと動かしてみせながら、こうすると上昇、こうすると右旋回、なんて説明する。

 意外なほどシンプルな構造だ。機体も小さい。こんな頼りないモノが大空を飛び回るのか・・・。
 そう思うと、当時のパイロットたちの何とも言えない不安感と、それと裏腹になった勇気や誇りがヒシヒシと実感できる気がする。

 フランタは占領された祖国を離れて英国空軍に合流し、ナチスドイツと闘い続ける。他にも何人か同じようなヤツらがいて、英国空軍内にチェコスロバキア人チームができる。

 異国で奮戦するチェコスロバキアのパイロットたち。死がすぐそばにある毎日。そのなかでの恋。後輩で親友のカレル(クリシュトフ・ハーディック)との男の友情――。

 演出はとても繊細だ。風防に吹きつける風の冷たさや、陽だまりの暖かく乾いたにおい、そんなものまでしっかりとこちらに伝わってくる。
 そんな丁寧な描写のせいもあって、ショボい戦闘機に命を預けて大空へ飛び出す男たちの心意気が、高所恐怖症の私の胸にもグイッとリアルに迫ってくる。素晴らしい作品だ。ジ~ン。

 さて。最後に、私以外の人の感想も参考までに紹介しておきたい。

 一緒に観に行った私の妻; 「フランタもカレルもどっちもいいオ・ト・コ。よいわ~」

 後ろの席に座っていたカップル; 「ワンちゃん(=フランタの飼い犬)かわい~ッ!」

 ・・・もっと他に感想はないのか!

Text by 輝
2002/11/1

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