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グース



タイトル: グース
原題: Fly Away Home
(1996年、米)

監督: キャロル・バラード
出演: アンナ・パキン、ジェフ・ダニエルズ、ダナ・デラニー、テリー・キニー 他





 16羽のガチョウ(=グース)が、小型グライダーを先頭にVの字編隊を組
んで大空を悠々と横切っていく――。

 この映像。何とも言えないロマンが感じられる。夢もある。愛もある。どこ
となくユーモラスな雰囲気もある。今回紹介する「グース」、その魅力のすべ
てがこの一場面につまっていると思う。

 主人公は14歳の女の子、エイミー(アンナ・パキン)。母を突然の交通事
故で亡くし、10年間顔を合わせたこともなかった父、トーマス(ジェフ・ダ
ニエルズ)に引き取られる。
 トーマスはカナダの大自然の中で暮らすアウトドア派の気のいいオヤジ。し
かし、母を亡くしたショックでふさぎこんでいるエイミーはなかなか心を開い
てくれない。

 そんなある日、エイミーは家の近くの森でガチョウの巣を発見する。母鳥が
死んじゃって、16個の小さなタマゴだけ。放り捨てておくのはちょっとカワ
イソウ。エイミーはタマゴを家に持ち帰る。
 一緒になってタマゴをかえし、ヒナ鳥を育てるうち、父トーマスとの仲も次
第に打ち解けたものになってくる。

 やがて立派な若鳥に成長したヒナたち。そろそろ空を飛ぶことを教えなくて
は、と父トーマスは小型グライダーを用意。グライダーの操縦を覚え、ガチョ
ウと一緒に飛び回るエイミー。さすがアメリカ人、やることのスケールがデカ
い。しかしこの後、父娘2人の行動はさらに気持ちよくスケールアップしてい
く。

 ガチョウは渡り鳥である。空を飛べるようになったら今度は「渡り」を教え
ないと一人前(一鳥前か?)とは言えない。てなわけで、グライダーのエイミ
ーが先導し、越冬地を目指す500マイルの空の旅が始まる――。

 ホント、酔狂というか何というか、とにかく「よくやるよなア」という話な
のだが、何とこれは実話に基づいたストーリーだというからオドロキである。
世の中、スゴい人たちもいるもんだ。

 一行の目的地は美しい湿原。ここではいかにも悪そうな建設業者が無茶な開
発を画策している。
 しかし、エイミーたちの行動がマスコミで注目されるにつれ、環境保護運動
が盛り上がり、開発計画は立ち消えになる。越冬地の自然は守られた、バンザ
ーイ! ・・・というのがラスト。ヒネた大人の目から見るとチト楽天的すぎ
る気もするが、そんなところにいちいち目くじら立てて文句をつけるよりも、
ここは子ども心に戻って素直に楽しんだ方が利口。

 私がこの作品を観たのは、オーストラリア旅行に向かう飛行機の機内上映だ
った。時速900キロで高速移動する密閉空間の中で、頬に風を受けて飛翔す
るグライダーに思いを馳せる、というのもなかなかオツな経験でありました。



  Text by 輝 2002/7/19  メールマガジン掲載




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