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バードケージ




タイトル: バードケージ
原題: The Birdcage
(1996年、米)

監督: マイク・ニコルズ
出演: ロビン・ウィリアムズ、ネイサン・レイン、ジーン・ハックマン、ダイアン・ウィースト、キャリスタ・フロックハート 他





 ある晩。フジテレビのバラエティー「ハッピーボーイズ」(水曜夜10時)
を見ていた。爆笑問題の2人とおすぎ、ピーコがホスト役になり、毎回「スチ
ュワーデス」とか「アイドル」とか特定の職業の人を何人かスタジオに招いて
その本音を聞く、という番組である。
 その日のテーマは「女子アナ」。フジの女子アナが10人くらい出演してい
た。

 某女子アナのトークは昔の彼氏と別れた時の話。彼女には「すごく仲のいい
ゲイの友人」がいて、いつも恋愛相談をしていたんだそうだ。
 「ゲイの友人がいる」=「知的でオシャレ、都会派」っつーことなのか、ひ
どく自慢気に「ゲイの」という部分をしきりにアピールしてるのが鼻についた。
ただの「友人」でいいじゃん。
 自分のメンタルケアにその「ゲイの友人」を体よく利用してるふうに感じら
れるのも、なんかちょっとヤだった。

 さて、今回紹介する「バードケージ」はゲイのホームコメディである。
 タイトルの「バードケージ」とは主人公のアーマンド(ロビン・ウィリアム
ズ)が経営するゲイ・バーの名前だ。アーマンド自身もゲイ。店のトップスタ
ー・アルバート(ネイサン・レイン)と「夫婦生活」を送っている。

 このカップルにはもう一人家族がいる。アーマンドが別れた妻との間にもう
けた一人息子・ヴァル(ダン・ファターマン)だ。ヴァルにとってはアーマン
ドが父、アルバートが母。3人の関係は非常にうまくいっている。

 ヴァルが恋人(「アリー」のキャリスタ・フロックハート)との結婚を考え
始めたのが騒動の発端。彼女の父親はガチガチの保守系上院議員キーリー(ジ
ーン・ハックマン)。「ゲイなんか人間失格だあ!」という考えの持ち主なの
だ。ヴァルの両親(?)がゲイ・カップルだとバレたが最後、結婚話がご破算
になるのは目に見えている。アーマンドは自分たちがゲイだということをひた
隠し、何とかさっさと話をまとめてしまおうとするが――というのが筋書きだ。

 この作品は78年のフランス映画「Mr.レディ Mr.マダム」のリメイ
ク(間に舞台化をはさんでいる)。
 ストーリーの上では「ゲイ=アブノーマルな人たち」という世間の常識との
戦いが軸になっているのだけれど、そんな「常識」はゲイ先進国の欧米ではす
でにかなりの部分なくなってきているんじゃないかと思う。この映画に出てく
るゲイたちはすごく自然だし、周囲の「ノーマルな人々」の間に溶け込んでい
るみたいに見える。彼らを異端者扱いしてるのはほとんどキーリーだけなのだ。

 一方、日本のテレビなんかに登場してくるゲイはまだまだ「繊細でクリエイ
ティブな才能を持った癒し系」か「テンションが高くて笑えるオカマちゃん」
というステレオタイプがほとんど。最大公約数の視聴者を対象にしたテレビを
単純に映画と比較することはできないが、それでもこの分野ではまだ日本は先
進国ではないのだなあ、と感じた次第。

 ゲイであるというだけで、オカマギャグの一つもかますことを期待されたり、
ものわかりのいい相談相手であると勝手に思われたり、というのはかなりうっ
とーしいんじゃないかなあ。「バードケージ」のゲイたちのように、たいして
気張らなくてもフツーに暮らしていける、というほうがハッピーだよな。やっ
ぱ。



  Text by じょん 2002/5/18  メールマガジン掲載




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