映画 ディディエ

タイトル: ディディエ

原題: DIDIER

製作: 1997年、仏

監督: アラン・シャバ

出演: アラン・シャバ、ジャン・ピエール・バクリ、イザベル・ジェリナス他

映画 ディディエ レビューと感想

 会社の後輩Yはディープなサッカーファン。Jリーグ鹿島アントラーズの熱狂的サポーターである。自身がプレイすることはないようだが、応援するのだけはとにかく大好きらしい。

 2年前、アントラーズはJリーグで優勝した。Yは優勝が決まったその日、たまたまアパートの自室に一人っきりでいた。喜びを誰かと分かち合うこともできない。せめてもと、お祝いにシャンパンを買ってきた。飲むためではない。なんと頭からかぶるためである(笑)。
 部屋でやると後片付けが面倒だ。シャンパン片手に風呂場に行ったY。全裸(!)になり、頭のてっぺんにトクトクトクとシャンパンを注いだ。

 ・・・これは実話である。私はサッカーにはとくに興味がないので、Yの異常行動はまったく理解不能だ。しかし、ここまでバカになれるというのはある意味スゴいと思う。
 例えばの話、いくら映画が好きだからって「ビューティフル・マインド」がアカデミー賞を受賞した、バンザーイ!とシャンパンを頭からかぶったりはしないもんな。夢中になって応援できるものがあるYがちょっとうらやましい気もする。・・・いや、そうでもないか(笑)。

 というわけで、ディープなファン心理にはついていけないが、W杯も目前に迫ってきたことでもあるし、今回はサッカー映画を紹介したい。「ディディエ」である(これって一応サッカー映画だよね?)。

 ディディエというのは主人公の犬の名前。ボール遊びが大好きなフツーのラブラドール犬である。このディディエがある日突然、何の説明もなく人間の姿(アラン・シャバ)に変身してしまう。

 旅行に出かけた飼い主からディディエを預かっていた某サッカーチームのマネージャー(ジャン・ピエール・バクリ)はビックリ。何しろ、預かった犬の代わりに素っ裸の男が家の中をウロついているのだ。

 人間の姿になったディディエだが、知能の方は相変わらず犬並み。舌をベロンと出してハアハア言い、そこら中をクンクンかぎ回る。もちろんひと言もしゃべれない。
 しかし、ボール遊びが大好きだっただけあって、サッカーをやらせるとプロ選手並み。フランス語ができない外国人選手ということでサッカーチームに入れられるディディエ。

 ハリウッド映画だとこの後は、ディディエの活躍によって弱小チームが連勝していく、みたいなストーリーになるのだろうが、あいにくこの作品はフランス映画。そういうガンガン盛り上がるスポ根的展開にはならない。
 そもそも犬並みの脳ミソで試合に出て、活躍できるわけがない。いくらなんでもサッカーはそんなに甘いものではないだろう。当然ながらクライマックスの試合はメチャクチャになってしまう。で、その挙句、落語みたいなバカバカしいオチ。笑える。

 ハリウッド的展開のほうが盛り上がるんだろうが、サッカーファンの熱狂ぶりにイマイチついていけない私としては、この作品のどこかクールでシニカルな雰囲気も捨てがたい。

Text by 輝
2002/5/11

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