|
|
|
| タイトル: |
ビューティフル・マインド |
| 原題: |
A Beautiful Mind |
|
(2002年、米) |
|
|
| 監督: |
ロン・ハワード |
| 出演: |
ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、クリストファー・プラマー 他 |
|
 |
|
アカデミー作品賞・監督賞などを受賞した伝記映画。主人公ジョン・ナッシュ
(ラッセル・クロウ)は「ゲーム理論」を打ち立てた実在の天才数学者である。
映画の前半、大学院生時代の彼を見ていたら、小学5年生のときの同級生Kを
思い出した。
「ちびまる子ちゃん」の学級委員・丸尾くんを思い浮かべてほしい。それが
ほとんどそのまんまKである(笑)。成績はダントツだったが、それを鼻にか
けているようなところもあり、ちょっと浮いた存在だった。
そのころ、クラスで将棋がはやったことがあった。コマがマグネットで盤に
くっつくお手軽将棋セットがいくつも教室に持ち込まれ、休み時間にはあちこ
ちで対局が行われていた。
アタマのいいKは将棋の腕もクラス一。負けたのはたった一度だけだった。
その時。思いがけずKを負かすことができた相手が大喜びしていると、下を向
いて肩をプルプルふるわせていたKは、筆バコからカッターを取り出し、チキ
チキチキと刃を出すが早いか、相手に思いっきり投げつけた――。
「ビューティフル・マインド」では、院生時代のジョンがライバルの同級生
と囲碁で勝負する場面がある。プライドが高いジョンは、自分が負けると「ボ
クが負けるワケない。このゲームのルールはおかしい」と言い訳し、狼狽して
盤を引っくり返しながら足早にその場を立ち去る。見物していたみんなは冷笑。
自分は天才だと信じるジョンは、とても万人が共感できるようなキャラクタ
ーではない。
しかし、そんな主人公なのにこの映画は抜群に面白い。エンジンがかかって
くるのは、数学者として名が売れてきたジョンに米国防総省(ペンタゴン)が
接触してきてからである。
敵国・ソ連のスパイによる暗号通信を解読するよう要請を受けたジョン。ペ
ンタゴンの一室で、壁面のモニター一面に映し出されたランダムな数字の羅列
をじっと凝視する。1時間、2時間・・。誰も解けなかった暗号の数字が、次
第に彼に何かをささやき出す。「・・わかりました!」。ジョンの天才性が炸
裂するこのエピソードは痛快だ。
これをきっかけに、国家機密とスパイの世界に次第に深く足を踏み入れてい
くジョン。やがて彼にソ連のスパイの魔手が迫ってくる。しかし――。
と、この先は「シックス・センス」か「バニラ・スカイ」かという展開にな
っていくので、あらすじ紹介はここまで。
なんだかんだといろいろあって、ラストはノーベル賞の受賞式。奇人変人の
ジョンが世間に認められ、栄光を手にした陰には、妻・アリシア(ジェニファ
ー・コネリー)のいつも変わらぬ愛と支えがあった――と、このへんは「グレ
ン・ミラー物語」や「ベニイ・グッドマン物語」など往年の名作伝記映画のテ
イスト。しっかり涙も流させてくれる。
サスペンスと感動、ひとつぶで2度おいしい快作である。
――ところで。Kにカッターを投げつけられた相手は、うまくかわして傷一
つ負わなかった。その後は誰もKと将棋をやりたがらなくなった。やがて将棋
ブームは過ぎ去り、私は転校した。それ以来Kとは会っていない。
あれからもう20年。Kが今どうしているかは知らない。ジョン・ナッシュ
のように、うまく自分の「アリシア」を見つけられただろうか。
|
|
 |
| Text by 輝 |
2002/4/12 メールマガジン掲載 |
|
 |
|
|