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コンチネンタル



タイトル: コンチネンタル
原題: The Gay Divorcee
(1934年、米)

監督: マーク・サンドリッチ
出演: フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース、アリス・ブラディー、エドワード・エヴァレット・ホートン、エリック・ローズ 他





 「美」の基準というのは、その時代時代によってずいぶんと変化するものだ。

 例えば、浮世絵の美人画である。「美人」画というからには、当時の絵師が、
ふるいつきたくなるような究極美女を描くために想像力の限りをつくし、あら
ゆる技巧を注ぎ込んで完成させたものなのであろう。しかし、現代人でアレを
見て「うおお、スッゲーいいオンナ! タマンねーぜ!」なんて思うヤツは一
人もいないと思う(但しマニア除く)。

 さて。今回紹介する「コンチネンタル」、主人公のガイ・ホールデン(フレ
ッド・アステア)は映画の中で「オレは女に待たされたことがない」と豪語す
る。かなりの二枚目の口から出てきてしかるべきセリフである。しかし、(大
好きな俳優に対してこんなことを言うのもなんだが)演じるアステアはどう見
ても美男子ではない。
 桂歌丸に似ている。白熱電球にも似てる気がする(スミマセン)。公開当時
の1934年にはこの手の顔が最高の美男子で、現代とは美的感覚が違ってい
たのだろうか。
 いや、同時代の他の映画を観る限り、そんなことはなさそうである。

 しかし、そんなアステアがモテモテの役を演じても、違和感は感じられない。
自信タップリ二枚目風のセリフも許される。なぜか。それは奇跡的なダンステ
クニックゆえ。彼のダンスを一度目にすれば、そりゃあ女もなびくだろうな、
と思ってしまう。それだけの力がある。

 「コンチネンタル」はミュージカル映画である。しかも、アステア演じるガ
イは国際的に有名なダンサーという役柄。というわけで、ダンスシーンはたっ
ぷりある。
 そのダンス。「がんばって踊っている」ような感じがまったくしないとこが
スゴい。余裕しゃくしゃく。彼の周りだけ地球の重力が3分の2くらいになっ
ているかのように、あくまで軽々と跳躍し、ステップを踏む。トーン、トーン。
 で、キメのポーズをとるときには、1センチのくるいもなくピタリ、ピタリ。
細部まで完璧にコントロールされたダンスがこともなげにこなされる。・・ブ
ラボー!
 
 ガイは旅先で偶然出会った美女ミミ(ジンジャー・ロジャース)に一目ぼれ
してアタックしまくるが、彼女はさっぱりつれない。それもそのはず、ミミは
実は人妻。夫との離婚を成立させるべく画策しているところで、ガイと恋を語
らっている余裕などなかったのである。やがて、ガイの友人の弁護士やミミの
叔母さん、変なイタリア男(笑)まで巻き込んで、ミミの離婚騒動がにぎにぎ
しく繰り広げられる――なんてストーリーははっきり言って、このさいどうで
もいい。
 これはアステアとロジャースの美しいダンスに感動するための映画だ。

 これだけの技術を身に付けたアクター、アクトレスはもう2度と現れないだ
ろう。映画の世界から永遠に失われてしまった体技に涙すべし!



  Text by 輝 2002/3/23  メールマガジン掲載




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