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カムイの剣




タイトル: カムイの剣
原題: カムイの剣
(1985年、日)

監督: りんたろう
出演(声): 真田広之、小山茉美、塩沢兼人、石田弦太郎、永井一郎 他





 2月16日から全国公開される岡本喜八監督の時代劇「助太刀屋助六」。前
作「EAST MEETS WEST」(95年)に続き、真田広之の主演だ。
「EAST MEETS WEST」の真田広之は、日米修好使節団の一員と
して渡米した維新志士という役どころ。西部のガンマン相手に日本刀で大立ち
回りを演じた。

 日本のサムライがアメリカ西部に渡って活躍する、というアイデアは奇想天
外に見えて、そう目新しいものでもない。三船敏郎主演の「レッド・サン」
(71年)なんて先例もあった。
 実は真田広之もすでに17年前、アメリカ西部に渡った忍者を演じた経験が
ある。アニメなので声だけなんだけど。今回紹介する「カムイの剣」がその作
品だ。いわゆるアニメ絵とは程遠いシブい絵柄だったのが災いしたのか、公開
当時はあまり評判にならなかったように記憶しているが、この映画に私の血は
騒いだ。

 時は幕末。海賊キャプテン・キッドが隠した財宝のありかを示す秘剣・カム
イの剣をめぐって忍者たちが死闘を繰り広げる。
 真田広之が声を演じた主人公・次郎は、カムイの剣を手に入れて抜け忍にな
る。公儀御庭番(幕府側の忍者の大ボスってことね)天海が差し向ける追手を
撃退しつつ、北海道から捕鯨船に乗り組んでベーリング海峡をわたりアメリカ
大陸へ――。この忍者どものバトルがとにかくスゴい、スゴすぎる。

 竜童組による和太鼓のどんがどんがという激しいビートに乗って忍者たちの
影が高速で交錯する。刀や手裏剣が青い光跡をひいて飛び交い、飛び散る血し
ぶきはパシュッと赤く輝く(比喩ではなくホントに光るのだ!)。古舘伊知郎
風に言うと、戦慄の花火大会だア!(笑)って感じ。

 アニメ映画はやっぱ「絵」が勝負。この作品の絵、とくに背景はとても精緻
に書き込まれている。その一方で「動き」のほうは思い切ってデフォルメされ
ており、忍者たちの動き(歌舞伎を参考にしたという)はとんでもなくスタイ
リッシュだ。リアルな絵柄とのギャップが不思議な魅力を生んでいる。

 主人公の次郎は死闘の果てにカリフォルニア沖の無人島でラスボスの天海を
倒し、莫大な財宝を手に入れる。ところが倒したはずの天海は実は影武者。日
本に戻った次郎はさらに天海一派と戦い続けることを決意する。巨万の富を維
新軍につっこんで倒幕の動きを加速させると同時に、自分自身も伊賀忍者の精
鋭を率い、時代の陰で動き始める。
 そして、維新軍が函館・五稜郭に攻め寄せたその日、戦いを見下ろす高台で
次郎と天海の最後の一騎打ちが始まった・・。財宝を見つけてメデタシメデタ
シとならずに、その使い途までしっかり描いているのが面白い。

 公開当時、私は観終わった後もコーフンしてそのままぶっ続けでもう1回観
た。そしてそれ以後は17年間1度も観かえしていない。あの熱すぎるバトル
に初見の時と同じようにエキサイトできるかが不安なのだ。この文章もほとん
ど遠い日の記憶だけで書いている。
 「マトリックス」(99年)以来、奇抜でスタイリッシュなアクションシー
ンが次々に生み出されていることでもあるし、今この作品を観て、かつての私
と同じくらい熱く興奮できるかは保証の限りではない。しかし、それでも一見
の価値はあると思う。何しろこの文章を書いているだけで、昔日の記憶に胸が
熱くなってくるくらいなのだ。



  Text by 輝 2002/2/1  メールマガジン掲載




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